米国株は為替で変動する、という当たり前の脅威について

米国株をトレードするようになって気を付けるようになったのが、ドル円の動きです。わたしがトレードを始めた7月から8月にかけて、実はドル円はぶんぶん動いています。

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7月上旬は107円前半でしたが、下旬は104円前半まで急落。1ドルあたり3円の差は、100ドルの株を所有していると、300円もの差を生み出しています。これが5株なら1500円、100株なら30000円の差なのです。この為替差損を見ながら、売り時を判断する必要性を強く感じます。

売買報告書をちゃんと見るようになった

最終的にいくらで取引されたかを知るには、証券会社が発行する売買報告書で詳細を確認するしかありません。

特に、以下の4つについて、把握する必要を感じます。

・約定日から受け渡し日(現地→国内)
・約定時の為替レート
・国内手数料、消費税(売却がドル建てでも円建てに換算されるので合算)
・受け渡し金額(円ベース)

約定日と受け渡し日は、現地から国内に来るまで最低でも4日かかっています。配当権利を取るときは現地約定日に注意する必要があり、国内受け渡し日は、いつの為替レートが適用されるか、という目安になります。

約定時の為替レートは、円貨決済のときはSBI証券は翌日午前10時に決定している、としていますので、ドル円のトレンドがどうなるのか、というのを見越して買い判断をしなければなりません。

国内手数料、消費税は、手数料率が決まっているので予測可能ですが、これもコストに含めないと、ポジション解消のときにどのくらいの株価まで上昇していなければ損をしてしまうか、の重要な指標になります。ドル決済でも手数料はそのときの為替に応じて円貨計算してくれていますので、それを参考にします。

受け渡し金額は、円貨ベースだと手数料と税金が加算された金額が計上されますので、それを単純に購入株数で割ったものが、円貨の購入時株価、ということになります。手数料分が加算されているので、当然ながら現地での約定価格より若干の高値になります。

当然ですが、買ったときの為替よりも今の為替が円安に振れていれば、株価が同じでも差益が出ていることになります。

株高・円高だと、利益が削られる。

株安・円安だと、損失が和らぐ。

株高・円安だと、利益が上積みされる。

株安・円高だと、損失が倍化する。

頭が混乱します。

為替をリアルタイムに把握するスプレッドシートづくり

持ち株が現状の株価で売っても利益になるのか?というのがわかりづらいわけで、となると、リアルタイムに為替価格を入れると自動計算して適正な損益分岐株価を出してくれるスプレッドシートを作るのが妥当だよな、と。

取引報告書の項目に沿って売買記録をつけ、リアルタイム為替価格をすぐに反映できるスプレッドシートを作ります。

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要点は以下のとおり。

[00] 今の為替価格
[01] 現地約定日:報告書から転記
[02] 国内約定日:報告書から転記
[03] 取引通貨 :ドルで取引したか、円から買ったか・売ったか
[04] ティッカー:
[05] 銘柄名:
[06] 取引:購入か、売却か
[07] 預り区分:NISAだと税金計算が不要になるので、最終集計時の仕分け用として
[08] 約定数量:購入数
[09] 残量:分散売買だと、残量をカウントする必要が出てくる
[10] 約定単価:手数料などコストがかかっていない純粋な現地約定単価。
[11] 国内受渡日:日本国内受け渡し日
[12] 現地:持ち株数に応じた総額(コスト計算前)
[13] 円貨:[12]÷[14] 約定総額を約定時外貨レートで割った円ベースの株価
[14] 外貨レート:約定時に決まった為替レート(スプレッド込み)
[15] 手数料:ドル建て決済でも円ベースの価格が出るので、円ベースの価格をリスト
[16] 消費税:ドル建て決済でも円ベースの価格が出るので、円ベースの価格をリスト
[17] 受渡金額:円貨決済のとき、円ベースでの受け渡し額
[18] 受け渡し修正後株価:[17]÷[08]÷[01]×[売却時に出る手数料率] ★今の損益分岐0の株価

今の為替価格を[00]でインプットすると、[18]で持ち株それぞれの損益分岐ゼロの最新株価がわかるようにしています。

たとえば、7月9日AT&Tを29.65ドルで10株買いました。この時の為替レートは1ドル107.38円。本日現在の最新株価は30.01ドルで、単純な差額では36セント、10株なので3.6ドルのプラスのはずです。これを今現在の為替価格106.55円で計算すると。。。損益分岐の株価は30.15ドルとなり、今売ると損をする、というのがクイックにわかるのです。

AT&Tの株価水準の場合、1ドル円高で対株価で1.89%のマイナス要素になります。AT&Tの1日当たりの株価変動率は、だいたい2%前後なので、為替要素をはねのけてプラスになるには、相当の上昇エネルギーが必要、ということがあっという間にわかるわけです。ボックス相場になりがちなAT&Tは、為替がいかに重しになるか、という一例です(逆にこういう銘柄こそ配当ゲット&長期投資に向いているともいえるかも)。

為替リスクをちゃんと語るブロガー皆無

米国株投資で複数の人の米国株投資を参考にしましたが、話題はすべて持ち株の値動きと業績ばかり。為替によってどのくらい株価が影響を受けているか、ということを語るブロガーは皆無に等しい状態でした。リスク要因として為替を上げる人はいたものの、証券会社のリスク説明程度のレベル。初心者に向けて作られているはずのコンテンツでも、ここの注意書きはあまいものばかりです。私は短中期のスイングトレードを盛り込もうと思っているので、為替効果は非常に気になるテーマであり、かつ邪魔者要素。いかにこれを克服するかが成果の伸びを左右します。

日本市場にとっての外国人売買動向。直近の動きを見ていると、見事に円安で売り、円高で買い越しています。ローソク足チャートはドル円(週足)。棒グラフは投資主体別売買動向における、個人投資家と外国人投資家の買い越しと売り越しのバランス(月次)。

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米国株を取引する私は、アメリカからすると外国人投資家です。ゆえに、このグラフからも現在の円安局面は短期的には売り要素、と見ることができます。が、中長期では1ドル110円台を想定できそうなので、また売るわけにはいきません。というように、為替要素を株価にリアルタイムに反映していかないと、どう動くか、というイメージ形成が遅れ、損失につながってしまう危険性があります。

もうちょっと為替に敏感になりませんか。